舞台『M.Butterfly』を観劇してきました!ストーリー内容を含めた感想※ネタバレあり

舞台『M.Butterfly』を観劇してきました!

睡魔に襲われることなく、舞台の世界観に浸って観劇することが出来ました。ただ、少し物語が難しかったので、観劇後に過去の映画作品等のストーリーを調べました。それを基に思い出しながら理解を深めたので、その内容を残しておこうと思います。

本作品の簡単なまとめは以前まとめているので、こちらをご覧ください
32年ぶりの日本での上演!舞台『M.Butterfly(M.バタフライ)』についてのまとめ

ストーリー

はじまり

ホームページのあらすじにも記載があるように「中国、北京に駐在経験のあるフランス人外交官ルネ・ガリマールは、国家機密情報漏洩により投獄されている。」つまり、ガリマール(内野)が投獄されているシーンから始まります。

投獄されている理由を観客に語るような形で、これまでのことを振り返りながら物語は進んでいきます。

なので、
本作品は、時間軸が2つあります。

「投獄されているガリマールの進行」によって進められ、「投獄されるまでのガリマールに起こった出来事」を場面を切り替えて説明していく。

つまり、
「投獄されている今」と「投獄前」の時間軸となっています。

この部分が曖昧なまま観劇していたので、前半部分は話の内容を深く理解することが出来ませんでした。反省、、


リリンとの出会いの概要

ガリマールは、北京の郊外に小さなアパートを借りてガリマールのバタフライ(リリン(岡本))と過ごしていた。
→ 照明が切り替わり、舞台上にリリンが出てきて、当時の様子を演じます。

そして、毎週3~4回ひそかに会い、リリンがガリマールに東洋について教育していた。という内容を語る。

この頃、社交の場でオペラ「蝶々夫人」を観劇し京劇のスター女優であるリリンに魅了される。これがガリマールとリリンの出会いです。

東洋人らしい慎み深さや奥ゆかしさを兼ねたリリン。すっかりリリンの魅力に惹かれて恋に堕ちたガリマール。ガリマールは、京劇に通いリリンに猛アピールし近づきます。

一方、リリンはアメリカの状況を探るように指示を受けていたスパイ。簡単にガリマールを自身に近づけようとしませんでした。
リリンはガリマールに興味があれば、京劇を見てほしいと伝え、リリンに対して恋しくなるよう仕向けていることが分かります。

リリンには、監視役として共産党員がついていました。その共産党員から京劇では「なぜ、男が女を演じるのか」と問いかけられました。これに対してリリンは「男は女がどう演じるべきかを知っているからだ」と答えます。

だからこそ、リリンはガリマールに東洋の「奥ゆかしい印象」をさらに強めるために京劇を見てほしいとガリマールに伝えたのだろうと思います。

やがて、2人男女の仲になり人目を忍びつつも20年に渡り関係が続きました。男女の仲ではありますが、リリンは一切裸体をガリマールには見せませんでした。

なぜなら、「スパイであることを隠すため」「リリンが男であることを隠すため」


ガリマールの妻

次にガリマールの妻ヘルガ(朝海)が出てくる。

子どもを授かりたいと思っているが、なかなかできない。

ガリマールは、努力すればよいと考えているが、ヘルガはもっと深刻に考えていた。だから、子どもが出来ないから病院にいく。

結果は、異常なし。
私だけの問題ではないから、ガリマールにも受けてほしいとお願いするが、ガリマール、病院には行かないと断言。今まで通り努力するだけだ、と頑なに拒否します。

この様子から、2人の間には溝があるのだという印象を持ちました。

そして、この後ガリマールは、ルネという大学生と不倫の不倫をします。

激しいダンスシーンでした。


リリンとの仲

ガリマールは上司から、駐在フランス人外交官に抜擢されたことを告げられる。

この昇進はあまり好ましいものではなかったようで、上司に提出していた報告書が上司の名前なしでガリマールの名前のみを記載していたため、ガリマール1人の手柄だと押し付けた結果だそう。

これに対して駐在フランス人外交官での役割がガリマールには納得できず。苛立ちをどこに向けたら良いのかわからなくなります。

そして、不倫の不倫ア大手であるルネのところに行こうとしたが、数週間会っていなかったリリンに会いに行くことにしました。

そして、話を聞いてくれたガリマールはリリンに「お前の裸を見たい」と伝える。

慎みを認めてくれていると思っていたリリン。一方、ガリマールは恥じらいをくれたから許してくれると思っていたし、唯一の2人の壁をなくせるから、と男女の仲になろうと迫る。

しかし、ガリマールは自分の誤りを認め、謝りました。リリンに見捨てられることが怖くなり、自分が悪かったと責めました。

それを見たリリンは、咄嗟に「妊娠している」と嘘をつきました。だから裸にはなれないと。

ガリマールはそれを聞いて、ヘルガとの間にできなかった子どもがリリンとの間で出来たことで、「結婚しよう」と告げます。


スパイ・リリンの裏の顔

リリンは反した行動が多く、監視役の共産党員から多数の罵倒を浴びます。

西洋に染まっているのではないか、と共産党員に怒鳴り続けられます。

何をしていたのか、リリンにはっきりと白状させ、きちんんと任務を遂行するよう言いつける。

ガリマールに想いを寄せていることを知っている共産党員は、リリンに対して「ホモだ!」と言い放つ。

リリンは精神状態もボロボロになっていました。


ガリマールとヘルガ

一方、フランスで起きていることが理解できないヘルガは、水浸しになって帰ってきます。

家にいたガリマールに対して何が起こっているのか尋ねますが、何も知らないと白を切るガリマール。

そしてついにガリマールはヘルガに別れを告げます。

ヘルガは離婚することを認め、出ていきました。

ガリマールは離婚後、1人でパリで過ごしていました。


リリンとの再会

1人で暮らしているときに、ガリマールはリリンの夢をよく見ます。そして、素敵な女性だったと嘆きます。

すると突如、リリンがガリマールを訪ねてきました。

しかし、
ガリマールは来るはずがないと罵倒します。そっとガリマールの頬にリリンが手を添えると夢ではないことが分かり、落ち着きを取り戻します。


リリンの着替え(小休憩)

舞台上で、リリンが着替えをしている間5分程度休憩となりました。

女性となっているリリンが、着物からスーツに着替え、白塗りしているお顔を落としていきます。


告白(法廷)

ついに、ガリマールは機密情報を漏洩させた罪で捕まります。

そこへ、パリの法廷で拘束されていたリリンは「男」として容疑者ガリマールの前へ現れます。

法廷では、リリンに対して質問します。

・ガリマールは機密情報をどうするつもりなのか、気にしていなかったのか
・リリンのことを男だと認識していなかったのか

これらの問いに対して、リリンは淡々と答えていきます

・気にしていなかった
・いつもうつ伏せで寝ていたから気付いていないはず

最後に、裁判長が「彼は男だと知っていたのか」とリリンに問いかけます。

リリンははっきりと、「私は聞いてみなかったんです」と答えます。


ガリマールは、リリンが男だという事実に衝撃を受け、信じられないと嘆く。

そこへリリンがやってきます。
自分が男であると開き直ったリリンは、ふてぶてしくガリマールを挑発していきます。リリンは自分を認めてほしくて、今までのように求めて良いのだと詰め寄っていきます。

そして、以前ガリマールが「裸を見たい」といったことを忘れていないリリンは、スーツを脱ぎ「男」であることを見せつけます。これは同時にガリマールに対するリリンの「告白」でもありました。つまり、リリンは本当にガリマールのことを愛していたので、男であっても自分を認めてくれると思っていました。

そして、リリンは真っ裸になります。

ガリマールは更に嘆く。
しばらくすると、リリンが本当に男であることを徐々に認識し始め、狂ったように笑い始めます。


リリンは、ガリマールに対して「あなたが愛していたリリンという女性と同じよ」と優しく接する。そして、中身が男であっても自分を認めてほしいと。自分の気持ちに正直になってほしいと。

しかし、ガリマールは受け入れてくれませんでした。

ガリマールは、「男が生み出した女を愛していた男だ」と。途方にくれます。


失望

「20年も裏切られた後じゃ一緒に暮らしていけない」とガリマールはリリンを見捨てます。それでも、リリンは必死に食らいつきます。「私があんたの幻想だ」と。しかし、ガリマールはリリンが着ていたスーツを見るや否や罵倒して出て行けと追い出します。

リリンはガリマールは他の男と違うと思っていたが、結局は外見と中身が異なっていると認めてくれないのだとガリマールに失望します。

「見た目」「色目の使い方」等という外見が大事でそれに伴った内面が必要なのだと。

このシーンから、「ガリマールは女の幻想を愛して人生を捧げる。リリンは女という偽りの人格の中でいつしかガリマールを愛するようになる。リリンは本当の自分を丸ごと受け入れてほしいと思っていたが、ガリマールは受け止めてくれず、この願いは叶わなかった。」ということが伝わります。


ガリマールの最後

京劇のメイクをしながら、ガリマールはぽつぽつと語り始めます。

リリンから教わった東洋のイメージを振り返る。

そして、リリンに対して、自分の愛のすべてを与えてしまったことを認めます。

愛が何もかもを狂わせ、盲目にし、顔つきも変えてしまったのだと。

「名誉ある死の方が良い。不名誉に生きるより。」


最後は、

「私の名はルネ・ガリマール。またの名を、マダム・バタフライ」といった言葉を残して自害します。


最後に

舞台の構成が語りであることを理解するまでに時間がかかってしまったので、前半の物語の理解が追いつきませんでした。

観客に向かって説明しているなとは思いましたが、こういった構成だったとは。もう少し早く「語り」と「過去の出来事」の構成であることに気付きたかったなと。無念。

リリン役を演じた圭人。顔立ちがきれいなので、京劇の女性を演じている姿はとても美しかったです。
ピンヒールや着物。ドレスも着こなしていて仕草も女性らしさがありました。

後半には、男であることをガリマールに認めさせるために舞台上で真っ裸になったことには驚きました。

舞台でここまで振り切るのかと。映像であれば映像に映る部分の工夫がいくらでもできると思うのですが、舞台なので、客席の構成や舞台の幅、つまりお客様の目線は複数の見え方あります。とても衝撃的でしたね。

ガリマールを演じた内野さん。演技が本当に圧巻でした。
リリンにのめり込んでいく様子も、リリンに裏切られて失望している様子も。
コミカルに演じるところとシリアスなところのギャップも響きましたね。

舞台観劇後になりますが、こうして改めて舞台の内容を調べることで、舞台の理解が深まるなと改めて思いました。

「あのシーンはこういった流れで演じていたのか」「こういった経緯があったからこういうセリフだったのか」と発見がありました。

本日はここまで!